和装がまだ圧倒的多数を占める明治時代の半ば。当時、鞄などの洋品雑貨はほんの一握りのハイカラな有産階級のための嗜好品に過ぎず、しかもその大半は舶来品でした。1890年(明治23年)、林大策は大阪市東区(現在の中央区)久太郎町に洋品雑貨の販売会社として「林大策商店」を創業しました。武家の末裔でありながら、神戸の洋物商で奉公した経験を持つ大策は、来るべき急速な洋風化を予見し、鞄やトランクなどを中心とした品揃えで日本人の生活様式の変化を支えたのでした。その後、綿帆布など素材の製造も手掛けはじめ、原材料の調達から製品の製造、販売まで事業を拡大、多数のグループ会社を擁するに至ります。